オーストラリアの総合診療医での海外研修レポート [04,2024]

4月、オーストラリアのブリスベンにある日系GPクリニック、さくらファミリークリニックに日本の国際医療福祉大学から医学部6年生の笹田よぐりさんが1か月間の海外研修に来ていました。日本ではまだ馴染みの薄い、海外のGeneral Practitioner(GP, 総合診療医)での彼女の体験談をレポートしています。日本からの留学生や患者さん、医学生さん、医療従事者の皆さんにも是非読んでもらえればと思い、今回許可を得て掲載させていただいています。

氏名 笹田よぐり

病院名 Brisbane Sakura Family Clinic

診療科 総合診療科

担当医師 Dr Dion Dewar, Dr Mayumi Yoshida

1. 臨床実習で最も印象に残ったこと・学んだこと

総合診療科での実習は初めてだったので、本当に刺激的な毎日を送りました。先生方からは、本当にたくさんのことを学びました。

まず、先生方の診療をみて「地域を診る」というのがどのような事なのかとてもよくわかりました。ただ患者さんの治療をするだけでなく、地域で起きている問題や患者さんの紹介先でのトラブル対応まで取り組んでいる先生方やスタッフの方々がとても印象的でした。今までの実習はほとんどが大きい大学病院だったので、「病気を診る」ということがメインになっており、今回の経験はとても新鮮なものでした。

また、患者さん本人の事だけでなく、家族の事や主訴に関連しない事も一緒に診ていけるGPの役割は、とても良いものだと思いました。日本ではジェネラリスト反対派の医師も多数いるため、まだまだGPは発展途上です。しかし、医師数の減少や地域医療格差、高齢化社会などの問題を踏まえると、地方や僻地でのGP(ジェネラリスト)の必要性は今後大いに増すと思いました。

特に日本で問題となっている産科分野に関して、僻地などでは産科研修を受けた総合診療科医がGPObstetricianとして活躍できると思いました。これは産科医の負担を減らすための第一歩だと感じました。

オンライン診療が一般的になっている良い面と同時に、短時間のオンライン診療の危険性について知りました。診療時間ではなく診療点数で報酬が決まる日本の医療体制に、少し疑問をいだきました。

日本では中絶が一種の避妊法になっていることや、性感染症に対する危機感の違いなど、普段の実習では気付けないような事もたくさんありました。自分の事を自分で守る、当たり前なこと、それが自分の心と体に大きな傷を残すまでわからない現実に胸が痛くなりました。日本のまだまだ未熟な性教育について今一度考え直すきっかけになりました。

2. 今後のキャリアにどのように活かせるか

海外実習へ行く前は、自分のやりたいと思う事に自信が持てず、自分が医師になれるかどうかすら疑問でした。しかし、この海外実習を通して、何事も失敗する可能性があれど、やってみないとわからないと強く感じました。

私は元々地域の町医者のようなジェネラリストを目指して医学部に進みました。しかし、大学に入学してからはあまり成績もよくなく、「ジェネラリストは頭の良い人がなるべきだ、君はもっと簡単な科にいきなさい」と言われた事もありやる気が低迷していました。

しかし、今回の実習で医師として正義感を持って地域の患者さんに向き合う先生方を見ていくにつれ、かつて自分の理想としていた医師像が蘇り、胸が打たれました。

3. そのほか(ある場合)

正直最初はこの時期に海外実習をやり遂げることにそこまで自信がありませんでした。しかし、海外実習を終えた今、このような素晴らしい機会を全員に作っていただいた大学や現地の先生方へ、感謝の気持ちで溢れるばかりです。学生のうちにこの経験ができたことは一生の財産となりました。

海外で学ぶことで新たな視点が増え、日本でこれから働く上で、より多角的な方面から物事を判断することの重要性や奉仕の精神を身につけられたと感じています。

また、低学年で学んだ医学英語のおかげで、実習中に会話で困る事はなく、また現地の日本人患者さんをヘルプする事もでき大変実りある実習となりました。

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